おひとりさまの相続の基本を理解しよう

近年、日本では少子高齢化の影響により、生涯未婚の方や子どものいない方、いわゆる「おひとりさま」が増え続けています。こうした背景から、「おひとりさまの相続」に関心が高まり、事前の対策を始める方も少しずつ増えてきました。

この記事では、法定相続人がいない場合に財産はどうなるのか、必要な準備は何かを具体例を交えながら解説します。相続に不安がある方はぜひ参考にしてください。

目次

おひとりさまの定義と法定相続人の範囲

「おひとりさま」とは、配偶者や子どもがいない単身者のことを指します。相続では次のような人が該当します。

・生涯独身の人
・離婚後、再婚せずに一人暮らしをしている人
・配偶者を亡くし、子どももいない人

おひとりさまの場合、法定相続人がいるのかどうかを早めに確認し、誰に財産を引き継がせたいのかを明確にすることが重要です。

法律上、相続人の順位は次のように定められています。

①配偶者 (常に相続人になります)
②子ども(直系卑属) ※亡くなっていれば孫が相続
③父母(直系尊属) ※子どもがいない場合
④兄弟姉妹 ※上記すべていない場合(甥・姪も含む)

なお、兄弟姉妹には「遺留分」の権利がなく、遺言書があれば他の誰にでも自由に財産を分配できます。

もし相続人が1人もいない場合、最終的には財産は国のもの(国庫)となります。

おひとりさま相続で起こりやすい3つの課題

1,兄弟姉妹が相続人になるケースが多い

おひとりさまには配偶者や子どもがいないため、兄弟姉妹が法定相続人になることが多いです。さらに、兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合、その子ども(甥・姪)が「代襲相続人」となります。

《具体例》
田中さん(75歳・独身・子どもなし)が亡くなったケース

  • 両親はすでに他界
  • 兄が健在 → 兄が相続人
  • 兄も亡くなっているが、甥がいる → 甥が相続人

兄弟が複数いる場合、相続は等分されます。特定の兄弟姉妹に相続させたい場合は、必ず遺言書を残す必要があります。

2.相続人がいなければ財産は国庫に帰属する

法定相続人が1人もいない場合、財産は最終的に国の管理下に移されます。

《具体例》
山本さん(80歳・独身・子なし・兄弟もいない)が亡くなったケース

名乗り出る人がいなければ財産は国庫に帰属
 ▼
役所が相続人を調査
 ▼
官報などで6か月間、公告

これを回避するには、次のような対策が有効です。

✔ 遺言書を作成して信頼できる人や団体へ遺贈する
✔ 死後事務委任契約を結び、財産整理や葬儀を依頼する

3.財産管理の困難さと認知症リスク

高齢になると判断能力が衰えるリスクが高まり、財産管理が困難になることもあります。とくに一人暮らしでは急な病気や認知症の進行で財産を管理できなくなる事態も少なくありません。

対策としては以下の方法が考えられます。

✔ 任意後見制度を利用し、信頼できる人に財産管理を依頼する
✔ 信託を活用し、財産の管理・運用を第三者に託す
✔ 死後事務委任契約を結び、葬儀や遺品整理など死後の対応を依頼

不安を先送りにせず、できるだけ早く専門家に相談しておくことが大切です。

おひとりさまの相続の流れと確認方法

基本的な相続の流れは一般と同じですが、おひとりさまの場合は「相続人の確定」が特に重要になります。

【相続の主な流れ(6ステップ)】

① 死亡届の提出 (7日以内)
② 遺言書の有無を確認 (自筆証書遺言は家庭裁判所で検認)
③ 相続人の確定 (戸籍を収集)
④ 相続財産の把握 (預貯金・不動産・株など)
⑤ 遺産分割協議(相続人がいる場合) 
⑥ 各種相続手続き (名義変更や税務申告)

戸籍の重要性と収集方法

相続人の確認には、被相続人の出生から死亡までの戸籍が必要です。

さらに、相続人全員の現在の戸籍も揃えなければなりません。

《具体例》
田中さんが亡くなった場合

兄弟姉妹を探すには、出生時までさかのぼって戸籍を取得する必要があります。
戸籍収集には時間がかかるため、元気なうちからの準備が肝心です。

相続人がいない場合の手続きとは?

相続人がまったくいない場合は、以下のような対応が行われます。

① 家庭裁判所が相続財産管理人(通常は弁護士など)を選任
② 債権者や特別縁故者への公告(6か月間)
③ 特別縁故者がいれば、裁判所が財産分与を審査
④ 誰もいなければ、財産は国庫に帰属

おひとりさまの相続では、「誰が相続するのか」を自分で決めておくことが極めて重要です。

遺言書の作成はもちろん、信託や任意後見制度、死後事務委任契約を活用すれば、あなたの意思をしっかり反映した相続が可能になります。

また司法書士や弁護士などの専門家のサポートを受けることで、手続きもスムーズになります。「備えておいてよかった」と思える将来のために、早めの対策を心がけましょう。

まとめ:おひとりさまの相続対策は早めにしよう!

おひとりさまの相続では、配偶者や子どもがいないため兄弟姉妹が相続人となるケースが多く見られます。しかし相続人が誰一人いなければ、あなたの財産は最終的に国庫へ帰属してしまいます。

さらに、高齢化に伴って避けられないのが認知症などによる判断力の低下です。財産管理が難しくなるリスクも見逃せません。

だからこそ、自分の財産を信頼できる人に託すなら、「今」が最良のタイミングです。

遺言書の作成はもちろん、信託契約や死後事務委任契約といった制度を活用すれば、将来への不安を手放し自分らしく安心できる未来を築いていくことができます。

これらの相続対策を進める際は、司法書士や弁護士などの専門家サポートを受けるとスムーズです。早めに対策を始めることで安心した老後を迎えることができるでしょう。

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