おひとりさまの相続【実践編】4つのポイントと専門家活用術

「私が亡くなった後、財産はどうなるのだろう?」
おひとりさまにとって、相続は見過ごせない重要なテーマです。配偶者や子どもがいない場合、法定相続人が誰になるのか、遺産はどのように分配されるのか、そもそも誰が手続きをしてくれるのか不安を感じている方も多いでしょう。もし対策をしていなければ、せっかく築いてきた財産が思わぬ形で処理されてしまう可能性があるのです。
本記事では、おひとりさまがスムーズに相続できるための4つのポイントが理解できます。また遺言書の作成や専門家の活用法についても学べます。
「自分の意思を尊重した相続」を実現するために、今からできることを一緒に考えていきましょう。
おひとりさまの相続対策4つのポイント
おひとりさまが押さえておくべき相続対策の4つのポイントは
法定相続人の確認と連絡先の把握
財産目録の作成と定期的な更新
信頼できる遺言執行者の選定
生前贈与の活用
です。詳しく解説します。
法定相続人の確認と連絡先の把握
自分の法定相続人が誰なのかを把握し、連絡先を確保しておくことは相続手続きをスムーズに進めるために不可欠です。法定相続人が不明だと相続発生後に遺産の受け取り手を探す必要があり、手続きが長期化したり最終的に遺産が国庫に帰属してしまう可能性があるからです。
親戚と疎遠になっていたAさんは、自分が亡くなった後の財産がどのように処理されるかが心配でした。そこで専門家に相談して法定相続人の範囲を確認したところ、該当者と連絡が取れてトラブルを未然に防ぐことができました。
相続人の確認は早めに行い、連絡が取れない場合は弁護士や司法書士に相談しましょう。
財産目録の作成と定期的な更新
財産目録を作成し定期的に更新することで、相続時に財産の全容を明確にできます。財産が整理されていないと、相続人が遺産を正しく把握できずに相続手続きが遅れたり、トラブルの原因になりがちです。
Bさんは毎年財産目録を更新し、預貯金や不動産の状況を明確にしていました。おかげで相続時にはスムーズに手続きが進み、相続税の申告も円滑に進みました。
財産の変動に応じて最低でも1年に1回は目録を見直し、必要な書類とともに保管しましょう。
信頼できる遺言執行者の選定
遺言の内容を確実に実行するためには、信頼できる遺言執行者を選ぶことが重要です。おひとりさまは家族がいないことが多いので、遺言執行者を指定しないと遺言が適切に実行されず、意図しない形で相続が行われる可能性があります。
Cさんは司法書士を遺言執行者に指定して公正証書遺言を作成しました。これによって相続発生後、スムーズに遺産が受遺者(相続する人)に引き継がれたのです。
もし周りに任せられる人がいない場合は、弁護士や司法書士などの専門家を遺言執行者として指定するのが安心です。
生前贈与の活用
生前贈与を活用することで、相続税対策や財産承継の準備ができます。適切な方法で生前贈与を行えば相続税の負担を軽減でき、遺産分割の際のトラブルを防げます。
Dさんは年間110万円までの非課税枠を活用して、毎年少しずつ甥に贈与を行い相続税を抑えることができました。生前贈与は税務面の専門知識が必要なので、場合に応じて税理士などの専門家に相談しながら計画的に進めましょう。
遺言書作成のすすめ
おひとりさまにとって、遺言書はあなたの想いを伝える大切な手段です。もし遺言を残さなければ遺産の分配は法律に従って行われ、あなたの意志とは異なる形で処理されてしまうかもしれません。
ここでは、遺言書を作成するメリットや特徴について詳しく見ていきましょう。
遺言書の重要性とメリット
遺言書があれば、財産を自分の意思通りに分けることができます。さらに言えば、法定相続人のいないおひとりさまの財産は遺言書がないと国庫に財産が移転してしまいます。
法定相続人のいないEさんは、公正証書遺言を作成して財産の一部を長年お世話になった介護施設に寄付することにしました。ご自身の財産をどのように引き継ぎたいのか、具体的な意思を明確にしておくことをお勧めします。
遺言書の種類と特徴
遺言書には主に3つの種類があります。
■自筆証書遺言
自分で自由に作成でき、費用もかかりませんが、書き方を誤ると無効になるリスクがあります。
■公正証書遺言
公証人が関与して作成されるため、法的に確実で安心して実行されるのが特徴です。
■秘密証書遺言
遺言の内容を秘密にできるものの、公証役場での手続きが必要でやや煩雑です。
確実に遺言を実行したい場合は、公正証書遺言が最もおすすめです。
専門家への相談のタイミング
おひとりさまが将来の備えを考える際、専門家への相談はとても重要です。しかし、「いつ、どの専門家に相談すればいいのか?」と迷うこともあるでしょう。ここでは相談する適切なタイミングについて解説します。
50代~60代 早めの準備で未来の安心につながる時期
「相続はまだ先の話」と思いがちですが、50代から準備を始めることで余裕を持って対策ができます。この時期にやっておくべきことは以下の2つです。
財産の棚卸しをする
自分の財産を整理し、どのように引き継ぎたいかを考えましょう。預貯金や不動産、株式、保険などをリストアップし、どのくらいの資産があるかを明確にします。所有する不動産の名義確認や保険の受取人確認もしておきます。
遺言書の作成を始める
おひとりさまは相続人がいないケースも多いため、財産の行き先を自分で決めておくことが大切です。「親しい友人に遺したい」「慈善団体に寄付したい」など、希望を形にするために 遺言書の作成を始めましょう。司法書士に相談すれば、公正証書遺言の作成サポートが受けられます。
70代 相続の詳細を具体的に決める時期
70代は、財産の管理や相続の詳細について具体的に決めていく段階です。
相続税対策を本格的に進める
相続税が発生する可能性がある場合、生前贈与や生命保険の活用など節税対策を行うことが重要です。税のルールは複雑なため、税理士など専門家のアドバイスを受けながら進めましょう。最適な節税対策を提案してもらえます。
任意後見制度の活用を検討する
認知症などで判断能力が低下すると、財産管理が難しくなります。そのため信頼できる人に財産の管理を任せる「任意後見制度」の利用を考えるのも一つです。司法書士や弁護士などが対応しており、任意後見契約を適切に結ぶことができれば将来の不安を軽減できます。
80代~ 実行段階へ移行する時期
80代になったら、これまで準備してきた相続対策を最終確認して実際の手続きを進めていきます。
遺言書の内容を見直す
遺言書は定期的に内容を見直すことが重要です。財産の変動や人間関係の変化があった場合、内容を修正する必要があるかもしれません。必要に応じて遺言書を更新しましょう。
死後の手続きについて準備を整える
おひとりさまの場合、亡くなった後の手続きを誰に任せるかを決めておくことが大切です。死後事務委任契約を結んでおけば、葬儀や遺品整理などを信頼できる人に託すことができます。司法書士事務所では契約すれば死後の手続きを代行してもらえます。
専門家(弁護士・司法書士・税理士)の選び方
それぞれの専門家には役割があります。ここでは弁護士・司法書士・税理士について解説します。
当司法書士事務所では弁護士や税理士と常時連携体制をとっており、お客様は相続手続きをワンストップで行っていただけますのでご安心ください。
弁護士|法的トラブルに対応
相続において、弁護士は 法的なトラブルを防いだり解決する役割があります。例えば遺言の内容が不明確だったり、相続人同士で意見が食い違ったりすると争いに発展することもあります。その中で自分の財産をどのように分けるかを明確にし、希望どおりに相続が進むよう調整するのは弁護士にしかできません。トラブル対応は弁護士と覚えておきましょう。
司法書士|相続手続き全般に対応
相続が発生した際、財産の名義変更や相続登記などの手続きは避けて通れません。
司法書士は、遺言書の作成サポートや 遺産分割協議書の作成、そして 相続登記(不動産の名義変更) を代行してくれる相続の専門家です。例えば、「自宅を誰かに相続させたい」「遺言書の内容を確実に実行したい」といった場合、司法書士に依頼すればスムーズに手続きを進められます。
また、おひとりさまは死後の手続きを第三者に任せる仕組み(死後事務委任契約)の活用も考えましょう。契約後は亡くなった後の各種届出や遺品整理も司法書士に依頼できるため、「身寄りがいないので心配」という方にも安心です。
税理士|相続税や贈与税対策に対応
特に一定額(相続の基礎控除額の3600万円 相続人が一人の場合)以上の財産を持っている場合、相続人数にもよりますが相続税が発生する可能性があります。おひとりさまが相続税対策を考えるなら、税理士に相談するのがベストです。
「現金や不動産が多いけれど、できるだけ税金を抑えたい」場合、生前贈与や生命保険の活用など節税対策を提案してもらえます。また相続税が発生する場合は、適切な納税方法のアドバイスや無理なく支払えるような計画を立ててもらえます。
おひとりさまは相続人がいないケースもありますが、その場合は遺言書を通じて財産を寄付したり、信頼できる人に財産を残したりすることもできます。税の優遇措置も含め、早めに税理士へ相談しておくと安心です。
専門家を選ぶ際は、実績があり相続に強い人を選びましょう。経験豊富な専門家なら、相続手続きをスムーズに進め税務リスクなども回避できます。信頼できる専門家に早めに相談することで、安心した老後を迎えられます。
まとめ:おひとりさまの相続対策は4つ!遺言書も活用しよう
おひとりさまの相続準備は、事前の丁寧な計画と適切な実行が大切です。自分の法定相続人を正確に把握し、連絡先を確認することから始めましょう。これにより将来の相続手続きがスムーズに進められる基盤が整います。
また財産の全体像を明確にしておきましょう。預貯金、不動産、有価証券などの財産目録を作成し、定期的に更新することで相続時の混乱を防げます。
自分の意思を確実に実現するためには公正証書遺言の作成も考慮しましょう。また信頼できる遺言執行者を指定することで、遺言の内容が確実に実行されます。
準備を進める上は専門家のサポートを早い段階から受けることをおすすめします。弁護士や司法書士、税理士などの専門家が持つ知識と経験を活用することで、より確実な相続対策を実現が可能です。
早めの相続対策により、将来への不安は軽減されます。相続は誰もが直面する課題ですが、適切な準備さえすれば決して難しいものではありません。あなたも今日から少しずつ相続対策を始めましょう。
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